看護師としての後悔。白血病と聞いて書かずにはいられなかったこと
血液内科で看護師として働きだす
私が看護師として働き始めたのは、血液内科病棟です。
いわゆる、白血病、悪性リンパ腫といった血液のがんと言われる疾患を扱っている病棟です。
大学病院は骨髄移植を行っていましたが、私が働いていた病棟では、まだ骨髄移植はできませんでした。
メインは抗がん剤治療です。出来るなら自家造血幹細胞移植をするという流れです。
珍しい病気であるにも関わらず、常に患者さんで病棟はうまっていました。
大学病院では、移植をメインとしているため、移植待ちの方や、移植が厳しいとされる方々が多かったように思います。
なぜ今、この話をしたのか...池江選手の白血病というのをニュースで見たからです。
ニュースで、今は白血病は治る病気であり、何人もの著名な方が寛解にはいり、骨髄移植をして完全寛解に至っている。と明るいニュースを出しています。
そう!希望はそれなんです。
ただ、そこにいくまでに、その方たちはとてつもなく、想像を絶する辛い治療を乗り越えられてきています。
抗がん剤で身体の中の白血球や赤血球、血小板などあらゆる血球が今までに見たこともないような0に近い数値になるのです。
血はとまらない、感染は起こしやすい、貧血はひどい。もちろん少しのバイ菌でも感染をおこします。
脱毛や吐き気、味覚障害や手のしびれ、本当に様々です。
抗がん剤で白血球が下がったときはクリーンルームと言われる小さな部屋だけが自分の居場所です。(白血球が下がって、もとの数値になる間)
だから、軽く、治る病気なんだよ!頑張ってね!なんて、本当に言えません。
たくさんの方の辛い入院生活と先の見えない抗がん剤との戦いや、再発の繰り返し、時々見える希望。(幹細胞移植へと繋がるとき)
本当に本当に大変な治療になります。
その事を知った上で励ましてほしいです。軽く頑張ってっていってるんじゃないんだよ。って。
そして、始めだけじゃなくて、応援するならずーっっとしてほしい。今じゃなくてずっと頑張ってるんですから。
後悔
今、私自身看護師として後悔していることがあります。
看護師3年目。精神的に限界が来ました。月平均30時間ほどの残業と、勉強会。家に帰っても勉強。先輩からの
ご叱責。覚えることが多すぎて、1日が足りない。自分の時間なんて、ほとんどないと思ってました。
毎日、抗がん剤の準備をし、毒々しい(赤とか青色の抗がん剤もある)色の薬を患者さんの身体の中にいれるという怖さ。少しのミスが命取りになってしまう現場。毎日、行われる治療のなか、毎日いる何人かの重症の方、本当に治療をしてもよかったのか?これでよかったのか?
亡くなっていった人の思いを受けとめきれない。
仕事が辛い。
今思うと私は逃げたんです。患者さんから。一緒に考えるし、戦うお手伝いをさせてくださいと言ったのに...
あのとき、もう少し頑張ればよかった。本当に。私が働いて何が変わったわけではないんでしょうが、なんで、あんなに頑張っていた人たちの姿をみて、私は自分のことしか考えなかったのかと。私がやめると言ったときに泣いてくださった患者さんをみて、はじめて気づきました。出来損ないでも看護師ができていたんだと。
若かったからこそできる看護がある。
精神的に病むことだってありますが、でも戦っている人を身近で支えることができたのにと。
身近な信頼できるナースをみつけてください。
だから、病気で戦っている方がいらしたら、治療で辛くなったらぜひ、信頼のおけるナースをみつけてください。
そのための看護師です。
私の厳しい先輩たちは、患者さんに親身になって話を聞いていました。忙しいのにいつ、そんな話しているのかなぁ?と思うくらい。
私だって、情けないナースだったけど一緒に泣いたことだってあります。時間を見つけて話を聞きに行くことだって出来ます。
頑張ってなんて無責任なことは言えませんが、背中をさすることやそばにいることもできます。色々な患者さんを見てきています。他の人たちよりも情報を伝えることができるし、気持ちがわかります。
医師に言えないことがあればその事を仲介することだって出来ます。
一人で悩まないでください。抱え込まないでください。
病気になると患者さんになってしまいますが、あなたはあなたです。
後悔しない人生を送るために、今が頑張り時なのかもしれません。
私も、踏ん張ります!!
あの時未熟な私に教えてくれた方々ありがとうございました。本当に感謝しています。